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千円単位表示における端数処理の順序

― 国土交通省公表資料に見る実例 ―

「先に丸めるか、後で丸めるか」で合計額はどう変わるか

共通 2026年9月10日

千円単位表示における端数処理の順序 ― 国土交通省公表資料に見る実例

許認可申請書類や決算資料を千円単位・百万円単位で作成する際、端数処理を「先に行うか、後に行うか」によって、表示される合計額が変わることがあります。この違いは記載の誤りではなく、端数処理の方式そのものに起因するものです。国土交通省が自ら公表している決算資料を例に、その実例を確認します。

この記事を書いた背景

許認可申請の実務では、運輸局から補正を求められる際に、「各項目をあらかじめ千円単位(または百万円単位)に丸め、その丸め後の数値を合計して内訳と合計欄を一致させる」方法(本記事でいう方法B)で書類を作成するよう指示されることがしばしばあります。一方、正確な合計額は、各項目を1円単位のまま合計し、その額を最後に一度だけ丸める方法(同・方法A)によって得られます。

両者は端数処理の順序が異なるだけですが、項目数が多いほど結果に差が生じ、内訳と合計欄の整合をめぐって申請者と担当者の間で見解が分かれ、たびたび議論になります。本記事は、このいずれの方式が国の公表資料における取扱いと整合するのかを、国土交通省自身が公表している決算資料に即して確認することを目的としています。

2つの処理方法

千円単位で金額を表示する場合の処理方法には、次の2通りがあります。

例:1,600円の項目が3つある場合(千円未満切り捨て)
方法 計算 結果
A:1円単位で合計した後に切り捨てる 1,600円 × 3 = 4,800円 → 切り捨て 4千円
B:各項目を先に切り捨ててから合計する 1,600円 → 1千円(切り捨て)× 3項目 3千円

方法Aは、正確な合計額(1円単位)を最後に一度だけ丸める方式です。方法Bは、個々の項目をあらかじめ丸めたうえで、その丸め後の数値同士を合計する方式です。項目数が多いほど、Bの方式では切り捨て(または四捨五入)による誤差が累積し、正確な合計額から乖離しやすくなります。

国土交通省の公表資料における実例

この違いは、国土交通省が自ら公表している決算資料でも確認できます。「令和3年度決算の概要」に記載された一般会計歳出(単位:百万円)のうち、地方運輸局を含む12区分を単純に合計すると、次のとおりとなります。

令和3年度決算の概要(一般会計歳出・単位:百万円)
区分(組織) 歳出予算現額
国土交通本省11,253,004
国土技術政策総合研究所7,009
国土地理院16,395
海難審判所924
地方整備局252,744
北海道開発局52,927
地方運輸局21,126
地方航空局2,266
観光庁1,417,499
気象庁85,557
運輸安全委員会2,179
海上保安庁287,985
内訳12区分の単純合計13,399,615
同資料に記載された「計」13,399,620

内訳の単純合計(13,399,615百万円)と、資料に記載された「計」(13,399,620百万円)との間には、5百万円の差があります。内訳の各区分は既に百万円未満を切り捨てた数値であるため、これらを単純に積み上げても記載された合計とは一致しません。これは、合計欄が内訳の丸め後の数値を積み上げたものではなく、正確な金額(円単位)を別途丸めた数値として記載されていることを示しています。

出典:国土交通省「令和3年度決算の概要」
https://www.mlit.go.jp/page/kanbo05_hy_003010.html

まとめ

千円単位・百万円単位で金額を表示する書類では、内訳の合計と表示された合計欄の数値が一致しないことがあります。これは、合計欄が「正確な金額を丸めたもの」であり、「内訳の丸め後の数値を積み上げたもの」ではないためであり、国の公表資料においても同様の取扱いがなされています。