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貸切バスの点呼に関する行政処分の基準

一般貸切旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の基準

点呼の未実施・不適切、アルコール検知器、点呼記録の基準日車数

貸切バス 2026年10月5日

貸切バスの点呼に関する行政処分の基準

点呼に不備があると、行政処分(車両の使用停止、事業停止など)の対象になります。このページでは、一般貸切旅客自動車運送事業者に対する行政処分の基準のうち、点呼に関係する部分を分かりやすくまとめています。

点呼とは

点呼とは、運行の業務の前後(夜間に長距離の運行を行う場合は途中も)に、運転者に対して対面等により、日常点検、酒気帯び、疾病・疲労・睡眠不足等の状況について報告を求めて確認し、運行の安全に必要な指示を与えることです(旅客自動車運送事業運輸規則第24条)。

点呼を行うことができるのは、営業所ごとに選任を届け出た運行管理者と補助者だけです。補助者は点呼の一部のみを行うことができ、運行管理者が総回数の3分の1以上を行う必要があります(遠隔点呼・自動点呼の数え方はこちら)。補助者の要件を満たさない人が行った点呼は、実際に行っていても「未実施」として扱われます。

対面のほか、遠隔点呼・自動点呼等の方法も認められています(対面以外で行える点呼、国土交通省「遠隔点呼・自動点呼 解説パンフレット」)。詳しくはページ末尾の「参考:点呼の詳細」をご覧ください。

まず押さえておきたいポイント

  • 点呼に関する違反で最も重いのは、飲酒運転防止に係る点呼の違反(100日車) です。
  • 点呼記録がないと、点呼をしていなかったと判断され得ます。 点呼の実施は、原則として点呼記録で確認されるためです。
  • 全運転者に点呼を全く行っていない場合は、30日間の事業停止になります。
  • 時期や方法、実施する人の要件を満たしていない点呼は、実際に行っていても「未実施」として扱われます。

行政処分の基本的な仕組み

違反の内容ごとに「基準日車等」が決められており、これを合計して処分が決まります。

  • 日車(にっしゃ):車両1台を1日使用停止にすることを「1日車」と数えます。
  • 初違反・再違反・累違反:違反を確認した日から過去3年以内に、同じ営業所で同じ違反による処分を受けた回数が、0回なら初違反、1回なら再違反、2回以上なら累違反です。累違反は再違反の2倍になります。
  • 合算:複数の違反があれば、基準日車等を合計します。
  • 50日車以下は警告:合計が50日車以下の場合は、車両の使用停止ではなく警告になります。
  • 違反点数:処分日車数10日車までごとに1点が付きます(警告になった場合も付きます)。3年間の累計が51点以上で事業停止、81点以上で許可の取消しです。
  • 加重・軽減:違反の隠滅や社会的影響がある場合は原則2倍に加重されることがあります。一方、違反を防ぐための相当の注意と監督を尽くしていたことを証明できれば、原則2分の1に軽減されることがあります。
例:点呼の未実施(40日車)だけであれば、初違反は警告ですが、違反点数4点が付きます。

点呼の実施に関する違反

違反の区分 初違反 再違反 累違反
点呼の未実施 40日車 80日車 160日車
点呼の不適切 20日車 40日車 80日車
軽微な違反(上記・下記以外) 警告 10日車 20日車
飲酒運転防止に係る点呼の違反 100日車 200日車 400日車

未実施・不適切・軽微な違反が混在する場合は、重い方の基準で算定されます。

「未実施」とされる点呼

次の点呼は、実際に行っていても「未実施」として扱われます。

  • 省令に定める点呼事項が全く実施されていない点呼
  • 補助者の要件を満たしていない者が実施した点呼
  • 運行管理者・補助者が自分自身に対して行った点呼
  • 対面でなく電話等で行った点呼(運行上やむを得ない場合を除く)
  • 業務の開始前に行わず、開始後に行った点呼
  • 業務の終了後に行わず、終了前に行った点呼

点呼を実施したかどうかは点呼記録で確認されます。ただし、明らかに実施したことを書面等で証明できる場合は、この限りではありません。

「不適切」とされる点呼

  • 省令に定める点呼事項のうち、一部が実施されていない点呼
  • アルコール検知器による酒気帯びの確認をしていない点呼

飲酒運転防止に係る点呼の違反

酒酔い・酒気帯び運行が確認された場合に適用されます。ただし、その運転者に対する点呼を明らかに実施していたことを、点呼記録により証明できる場合は除かれます。

点呼を全く行っていない場合

全運転者に対して点呼を全く実施していない場合は、日車による処分ではなく、30日間の事業停止と違反点数30点になります。この処分から3年以内に同じ営業所で同じ違反をすると、許可の取消しになります。

街頭監査で点呼未実施が見つかった場合

運行中のバスについて、点呼未実施やアルコール検知器の不所持などが見つかると、是正が確認されるまで、その車両はその場で使用停止になります。弁明の機会は与えられません。この使用停止は、後に行われる処分の日車数とは別に扱われます。

アルコール検知器に関する違反

違反の区分 初違反 再違反 累違反
検知器の備えなし(1器もない) 60日車 120日車 240日車
検知器を常時有効に保持していない 20日車 40日車 80日車

「常時有効に保持していない」には、正常に作動しない検知器で確認した場合のほか、故障を理由に確認をしなかった場合も含まれます。

点呼の記録に関する違反

貸切バスでは、点呼記録に加えて、点呼の録音・録画とアルコール検査の写真記録も義務付けられています。

違反の区分 点呼の記録 点呼の録音・録画 アルコール検査の写真
記録なし・保存なし 40/80/160日車 警告/10/20日車 警告/10/20日車
記録事項の不備 警告/10/20日車 警告/10/20日車 警告/10/20日車
改ざん・不実記載 60/120/240日車 60/120/240日車 60/120/240日車

表中の数値は「初違反/再違反/累違反」です。記録の改ざんは、どの記録でも60日車と重く扱われます。

点呼に関連するその他の基準

違反の内容 初違反 再違反 累違反
補助者の要件違反 20日車 40日車 80日車
補助者の選任・解任の届出違反 警告 10日車 20日車
補助者の選任・解任の虚偽の届出 60日車 120日車 240日車
酒酔い・酒気帯びの運転者を運行させた 100日車 200日車 400日車
飲酒運転防止(アルコール検知器の使用)に係る指導監督の違反 60日車 120日車 240日車
飲酒運転防止に係る指導監督の違反 100日車 200日車 400日車

酒酔い・酒気帯び運行が確認されると、運行させたこと、点呼、指導監督のそれぞれに100日車の基準があり、重い処分につながります。さらに、事業者が飲酒運転を命じたり容認したりしていた場合は14日間、指導監督が不適切な場合は3日間または7日間の事業停止が加わります。

処分を避けるためのチェックポイント

  • 点呼記録は漏れなく作成し、保存していますか(貸切バスは電磁的記録で3年間)。
  • 業務の開始前・終了後のタイミングで点呼を行っていますか。
  • 補助者は要件(運行管理者資格者証の保有または基礎講習の修了)を満たしていますか。運行管理者が点呼総回数の3分の1以上を行っていますか。
  • 運行管理者や補助者が、自分自身に点呼をしていませんか。
  • アルコール検知器は毎日作動を確認し、少なくとも週1回は検知できるかを確認していますか。
  • 点呼の録音・録画とアルコール検査の写真は、90日間保存していますか。

参考:点呼の詳細

点呼の時期・方法・確認事項(運輸規則第24条)

区分 方法 主な報告・確認事項
業務前 対面又は国土交通大臣が定める方法(やむを得ない場合は電話等) 日常点検、酒気帯びの有無、疾病・疲労・睡眠不足等の有無。運行の安全に必要な指示
業務後 対面又は国土交通大臣が定める方法 車両・道路・運行の状況、酒気帯びの有無、交替時の通告
業務途中 国土交通大臣が定める方法(困難な場合は電話等) 夜間に長距離の運行を行う場合。運行の状況、疾病・疲労・睡眠不足等の有無
  • 酒気帯びの確認は、目視等に加え、営業所に備えたアルコール検知器を用いて行います。
  • 点呼記録は電磁的記録で3年間、録音・録画と写真記録は90日間保存します。

点呼を行うことができる人

区分 内容
運行管理者 点呼を行う者の原則。他の営業所の運行管理者や補助者は兼務できません
補助者 点呼の一部のみ行うことができます。運行管理者資格者証を有する者又は基礎講習の修了者から選任します
  • 補助者が行う点呼は総回数の3分の2までで、運行管理者が3分の1以上を行う必要があります。
  • 遠隔点呼と自動点呼は、3分の1の計算で次のように扱われます(国土交通省「遠隔点呼・自動点呼 解説パンフレット」P2・P7)。
点呼の方法 誰が行ったものとして扱うか
対面点呼 実際に点呼を行った運行管理者又は補助者
遠隔点呼 実際に点呼を行った人に応じて、運転者が所属する営業所の運行管理者又は補助者
自動点呼 運転者が所属する営業所の運行管理者(補助者が点呼予定を入力した場合も同じ)
  • 補助者が点呼で酒気帯びや体調不良などのおそれを確認した場合は、直ちに運行管理者に報告し、運行の可否について指示を受けます。
  • 補助者の選任方法や職務は運行管理規程に明記し、選任・解任は届け出ます。

対面以外で行える点呼

方法 実施場所 主な要件
遠隔点呼 自社の営業所・車庫と、自社・他社の営業所・車庫、車内・待合所・宿泊施設等との間 映像と音声で表情・全身・酒気帯び・体調を確認できる機器、生体認証による本人確認など。他社との遠隔点呼は管理の受委託の許可が必要
自動点呼(業務前・業務後) 所属営業所・車庫、車内・待合所・宿泊施設等 国土交通省の認定機器を使用。アルコール検知時は点呼を中止。業務前は体温・血圧を平時と比較
旅客IT点呼 優良営業所の営業所と車庫間など 開設後3年経過し、過去3年間、自らの責による事故報告規則の事故がなく、使用停止・事業停止・警告を受けていない営業所
  • 遠隔点呼・自動点呼を行う場合は、運行管理規程に明記し、実施予定日の原則10日前までに運輸支局等へ届け出ます。
  • 遠隔点呼・自動点呼だけで長期間対面点呼を受けない運転者には、月1回以上、運行管理者が対面等で会話し、健康状態を把握します。

根拠資料

本ページの内容は、2026年10月時点の上記資料に基づいています。実際の処分は、個々の事案に応じて判断されます。