業務途中の点呼(いわゆる中間点呼)― 運輸規則第24条第3項の正しい理解 ヒーロー画像

業務途中の点呼(いわゆる中間点呼)
運輸規則第24条第3項の正しい理解

旅客自動車運送事業運輸規則第24条第3項(業務途中点呼)

一般貸切旅客自動車運送事業者の義務を条文と「解釈及び運用」から整理する

貸切バス 2026年9月20日

業務途中の点呼(いわゆる中間点呼)― 運輸規則第24条第3項の正しい理解

旅客自動車運送事業運輸規則第24条第3項に定める業務途中の点呼(いわゆる中間点呼)について、条文と解釈通達の文言に沿って整理します。

本記事では、旅客自動車運送事業運輸規則(昭和三十一年運輸省令第四十四号)を「運輸規則」、旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について(平成14年1月30日 国自総第446号・国自旅第161号・国自整第149号、最終改正 令和8年6月26日 国自安第67号・国自旅第42号・国自整第76号)を「解釈及び運用」といいます。

1. 条文

運輸規則第24条第3項

3 一般貸切旅客自動車運送事業者は、夜間において長距離の運行を行う事業用自動車の運行の業務に従事する運転者等に対して当該業務の途中において少なくとも一回対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法(当該方法により点呼を行うことが困難である場合にあつては、電話その他の方法)により点呼を行い、次に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示を与えなければならない。

一 当該業務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況

二 運転者に対しては、疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無

解釈及び運用 第24条(1)⑧

⑧ 「夜間において長距離の運行を行う事業用自動車の運行の業務に従事する運転者等」とは、運行指示書上、実車運行(旅客の乗車の有無に関わらず、旅客の乗車が可能として設定した区間の運行をいい、回送運行は実車運行には含まない。以下同じ。)する区間の距離が100kmを超える夜間運行(実車運行を開始する時刻若しくは実車運行を終了する時刻が午前2時から午前4時までの間にある運行又は当該時刻をまたぐ運行をいう。)を行う事業用自動車の運行の業務に従事する運転者等をいい、交替運転者が当該事業用自動車に添乗している場合は当該交替運転者を含む。

2. 条文の構成要素

第3項の文言を、次の要素に分けて整理します。

要素 条文・解釈及び運用の内容
義務を負う者 一般貸切旅客自動車運送事業者
対象となる運転者等 夜間において長距離の運行を行う事業用自動車の運行の業務に従事する運転者等(定義は解釈及び運用第24条(1)⑧)
実施の時期 当該業務の途中
実施の回数 少なくとも一回
実施の方法 対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法。当該方法により点呼を行うことが困難である場合は、電話その他の方法
報告・確認事項 一 当該業務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況/二 運転者に対しては、疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無
指示 事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示

3. 各要素の解説

3-1. 義務を負うのは一般貸切旅客自動車運送事業者のみ

第1項(業務前点呼)・第2項(業務後点呼)の主語は「旅客自動車運送事業者」ですが、第3項の主語は「一般貸切旅客自動車運送事業者」です。運転者が点呼を受け報告する義務は、第24条第1項及び第2項に係るものが運輸規則第50条第1項第2号に「旅客自動車運送事業者の事業用自動車の運転者」を主語として、第24条第3項に係るものが同条第10項に「一般貸切旅客自動車運送事業者の事業用自動車の運転者」を主語として規定されています。

10 一般貸切旅客自動車運送事業者の事業用自動車の運転者は、第二十四条第三項に規定する乗務の途中において、同項の規定により一般貸切旅客自動車運送事業者が行う点呼を受け、同項の規定による報告をしなければならない。

3-2. 対象となる運行の判断基準(解釈及び運用⑧)

対象かどうかは、次の2つの要件をいずれも満たすかで判断します。

要件1:実車運行区間の距離が100kmを超えること

  • 判断は「運行指示書上」の距離で行います。
  • 「実車運行」は、旅客の乗車の有無に関わらず、旅客の乗車が可能として設定した区間の運行をいいます。
  • 回送運行は実車運行に含みません。

要件2:夜間運行であること

次のいずれかに該当する運行をいいます。

  • 実車運行を開始する時刻が午前2時から午前4時までの間にある運行
  • 実車運行を終了する時刻が午前2時から午前4時までの間にある運行
  • 午前2時から午前4時までの時刻をまたぐ運行

⑧において「夜間運行」は、午前2時から午前4時までの時間帯との関係で定義されています。

ワンマン運行に限られない

⑧の定義にはワンマン運行という限定がありません。交替運転者を配置した運行も対象となり、交替運転者が当該事業用自動車に添乗している場合は、当該交替運転者も対象に含まれます。

3-3. 「少なくとも一回」

条文は「当該業務の途中において少なくとも一回」と規定しています。

3-4. 実施の方法

条文上の方法

  1. 対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法
  2. 上記1の方法により点呼を行うことが困難である場合に限り、電話その他の方法

第1項との文言の違い

方法の規定
第1項(業務前) 対面により、又は対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法)
第2項(業務後) 対面により、又は対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法(第1項の括弧書きは「次項において同じ。」とされている)
第3項(業務途中) 対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法(当該方法により点呼を行うことが困難である場合にあつては、電話その他の方法)

第3項の文言には「対面により」が掲げられていません。また、電話その他の方法に移行できる要件も、第1項の「運行上やむを得ない場合」ではなく、「当該方法により点呼を行うことが困難である場合」と規定されています。

国土交通大臣が定める方法(解釈及び運用第24条(1)③)

③ 「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法」とは、以下をいう。

  • 「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示(令和5年国土交通省告示第266号。以下「点呼告示」という。)」第2条において規定する遠隔点呼、業務前自動点呼及び業務後自動点呼
  • 輸送の安全及び旅客の利便の確保に関する取組が優良であると認められる営業所において、当該営業所の管理する点呼機器を用い、及び当該機器に備えられたカメラ、ディスプレイ等によって、運行管理者等が運転者の酒気帯びの有無、疾病、疲労、睡眠不足等の状況を随時確認でき、かつ、運転者の酒気帯びの状況に関する測定結果を、自動的に記録及び保存するとともに当該運行管理者等が当該測定結果を直ちに確認できる方法
  • 一人で事業を行っている場合は、アルコール検知器を使った酒気帯び有無の確認や車両の日常点検等、第24条各号で定める事項を自ら確認し、運行の可否を判断する方法

点呼告示の規定(第1条・第2条・第4条・第7条第12号)

点呼告示第1条は、告示の対象を、運輸規則第24条第1項から第3項までの規定に基づき行う点呼としています。第3項の業務途中点呼も対象に含まれます。

(総則)

第一条 自動車運送事業者(以下「事業者」という。)が、旅客自動車運送事業運輸規則(以下「運輸規則」という。)第二十四条第一項から第三項まで及び貨物自動車運送事業輸送安全規則(以下「輸送安全規則」という。)第七条第一項から第三項までの規定に基づき、事業用自動車の運行の業務に従事する運転者又は特定自動運行保安員(以下「運転者等」という。)に対して、対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法により行う点呼に関し、その機能等の要件については、この告示の定めるところによる。

点呼告示第2条は、遠隔点呼、業務前自動点呼、業務後自動点呼の3つを定義しています。

(用語)

第二条 この告示において使用する用語は、運輸規則及び輸送安全規則において使用する用語の例によるほか、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 遠隔点呼 運輸規則及び輸送安全規則の規定に基づき、事業者が、機器を用いて、遠隔地にいる運転者等に対して行う点呼をいう。

二 業務前自動点呼 運輸規則及び輸送安全規則の規定に基づき、事業者が、機器を用いて、事業用自動車の運行の業務に従事しようとする運転者等に対して行う点呼をいう。

三 業務後自動点呼 運輸規則及び輸送安全規則の規定に基づき、事業者が、機器を用いて、事業用自動車の運行の業務を終了した運転者等に対して行う点呼をいう。

点呼告示が定義する自動点呼は、業務前自動点呼と業務後自動点呼の2つです。点呼告示の中で運輸規則第24条第3項の業務途中点呼に言及している規定は、遠隔点呼機器の記録事項を定める第5条第8号ハです(3-6参照)。

遠隔点呼を行うことができる場所は、点呼告示第4条第1項に規定されています。

(遠隔点呼の実施)

第四条 遠隔点呼は、点呼を行う運行管理者等(運行管理者若しくは補助者又は貨物軽自動車安全管理者をいう。以下同じ。)が属する自社営業所又は自社営業所の車庫と次に掲げるいずれかの場所(当該自社営業所と同一の事業及び種別である場合に限る。)との間(以下「遠隔点呼実施地点間」という。)において行うことができるものとする。

一 自社営業所又は自社営業所の車庫

二 他社営業所又は他社営業所の車庫

三 運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車内、待合所、宿泊施設その他これらに類する場所

2 遠隔点呼を行う運行管理者等が当該遠隔点呼を受ける運転者等(当該運行管理者等と同一の営業所に属する運転者等を除く。)に対し遠隔点呼機器を用いる点呼であって次条第一号に規定する機能を使用せず対面により行うものは、遠隔点呼とみなす。この場合において、第六条第一号、第二号及び第四号並びに第七条第十二号の規定は、適用しない。

前述のとおり、運輸規則第24条第3項の文言には「対面により」が掲げられていません。点呼告示第4条第2項は、遠隔点呼を行う運行管理者等が、自らと同一の営業所に属する運転者等以外の運転者等に対し、遠隔点呼機器を用い、第5条第1号に規定する機能を使用せず対面により行う点呼を、遠隔点呼とみなすと規定しています。

第4条第1項第3号の場所(事業用自動車内、待合所、宿泊施設その他これらに類する場所)にいる運転者等に対して遠隔点呼を行う場合については、点呼告示第7条第12号に次の定めがあります。

十二 遠隔点呼を行う運行管理者等は、第四条第一項第三号に掲げる場所にいる運転者等に対して遠隔点呼を行うときは、あらかじめ当該運転者等を選任している事業者が定めた場所で遠隔点呼を受けていることを、映像により確認すること。

「その他の方法」の範囲と実施のタイミング(解釈及び運用第24条(1)②)

次の②は、解釈及び運用第24条「(1) 業務前、業務途中及び業務後の点呼等の実施(第1項から第3項まで)」の中に置かれています。

② 「その他の方法」とは、携帯電話、業務無線等により運転者等と直接対話できるものでなければならず、電子メール、FAX等一方的な連絡方法は該当しない。

また、電話その他の方法による点呼を運行中に行ってはならない。

②の内容は次の2点です。

  • 「その他の方法」は、携帯電話、業務無線等により運転者等と直接対話できるものでなければならず、電子メール、FAX等一方的な連絡方法は該当しません。
  • 電話その他の方法による点呼を運行中に行ってはなりません。

3-5. 報告・確認事項 ― 第1項・第2項との比較

事項 第1項(業務前) 第2項(業務後) 第3項(業務途中)
日常点検の実施又はその確認
酒気帯びの有無
疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無
事業用自動車、道路及び運行の状況
交替運転者に対する通告
必要な指示

第3項の報告・確認事項は、第1号「当該業務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況」と第2号「運転者に対しては、疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無」の2つです。

酒気帯びの有無は、第3項の確認事項に含まれていません。これに対応して、アルコール検知器の使用義務を定める第4項は「第一項及び第二項の規定により酒気帯びの有無について確認を行う場合」、呼気検査状況の写真記録を定める第7項は「第一項、第二項及び第四項の規定によりアルコール検知器を用いて」と規定されており、いずれも第3項を含んでいません。

4 旅客自動車運送事業者は、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であつて、国土交通大臣が告示で定めるものをいう。以下同じ。)を営業所ごとに備え、常時有効に保持するとともに、第一項及び第二項の規定により酒気帯びの有無について確認を行う場合には、運転者の状態を目視等で確認するほか、当該運転者の属する営業所に備えられたアルコール検知器を用いて行わなければならない。

3-6. 記録と保存(第5項)

第5項は「第一項から第三項までの規定により点呼を行い」と規定しており、業務途中点呼も記録・保存の対象です。

5 旅客自動車運送事業者は、第一項から第三項までの規定により点呼を行い、報告を求め、確認を行い、及び指示をしたときは、運転者等ごとに点呼を行つた旨、報告、確認及び指示の内容並びに次に掲げる事項を記録し、かつ、その記録を一年間(一般貸切旅客自動車運送事業者にあつては、その内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第二十六条第一項において同じ。)を三年間)保存しなければならない。

一 点呼を行つた者及び点呼を受けた運転者等の氏名

二 点呼を受けた運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号その他の当該事業用自動車を識別できる表示

三 点呼の日時

四 点呼の方法

五 その他必要な事項

一般貸切旅客自動車運送事業者は、電磁的記録を3年間保存する必要があります。

業務途中点呼の記録事項(解釈及び運用第24条(3)③)

③ 業務途中点呼

イ.点呼執行者名

ロ.運転者等の氏名

ハ.運転者等が従事している運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等

ニ.点呼日時

ホ.点呼の具体的方法

ヘ.自動車、道路及び運行の状況

ト.運転者の疾病、疲労、睡眠不足等の状況

チ.指示事項

リ.その他必要な事項

業務前点呼・業務後点呼の記録事項にある「アルコール検知器の使用の有無」「運転者の酒気帯びの有無」は、業務途中点呼の記録事項には掲げられていません。

また、点呼告示に規定される点呼を行った場合は、次の事項も記録します(解釈及び運用第24条(3)④)。

④ 点呼告示第7条第12号、第11条第1項第16号及び同条第2項第13号に基づきあらかじめ定めた点呼実施場所について、以下のとおり記録するよう指導すること。

(例)○○県××市 △△(実施場所概要:車内、宿泊施設名等)

解釈及び運用第24条(3)④が掲げる点呼告示の規定は、それぞれ次の場合について定めたものです。

点呼告示の規定 内容
第7条第12号 第4条第1項第3号の場所(事業用自動車内、待合所、宿泊施設その他これらに類する場所)にいる運転者等に対して遠隔点呼を行う場合
第11条第1項第16号 第8条第2号に掲げる場所において運転者等が業務前自動点呼を受ける場合
第11条第2項第13号 第8条第2号に掲げる場所において運転者等が業務後自動点呼を受ける場合

業務途中の遠隔点呼の記録事項(点呼告示第5条第8号ハ)

点呼告示第5条は遠隔点呼機器の機能の要件を定めており、その第8号ハに、運輸規則第24条第3項の業務途中の遠隔点呼に係る記録事項が掲げられています。

八 遠隔点呼を受けた運転者等ごとに、次のイからニまでに掲げる事項を電磁的方法により記録し、遠隔点呼実施地点間で共有するとともに、その記録を一年間保存する機能を有すること。

(イ及びロ 略)

ハ 運輸規則第二十四条第三項の規定による業務途中の遠隔点呼に係る事項

⑴ 遠隔点呼を行った運行管理者等の氏名

⑵ 遠隔点呼を受けた運転者等の氏名

⑶ 遠隔点呼を受けた運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は車両番号その他の当該事業用自動車を識別できる表示

⑷ 遠隔点呼の日時

⑸ 点呼の方法

⑹ 遠隔点呼を受けた運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況

⑺ 運転者にあっては、遠隔点呼を受けた運転者の疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無についての確認の結果

⑻ 運行管理者が運転者等に対し伝える指示事項

⑼ 運転者等が点呼を受けた場所

⑽ その他必要な事項

(ニ 略)

解釈及び運用第24条(3)③の業務途中点呼の記録事項と対比すると、次のとおりです。

解釈及び運用 第24条(3)③ 点呼告示 第5条第8号ハ
イ.点呼執行者名 ⑴ 遠隔点呼を行った運行管理者等の氏名
ロ.運転者等の氏名 ⑵ 遠隔点呼を受けた運転者等の氏名
ハ.運転者等が従事している運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等 ⑶ 遠隔点呼を受けた運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は車両番号その他の当該事業用自動車を識別できる表示
ニ.点呼日時 ⑷ 遠隔点呼の日時
ホ.点呼の具体的方法 ⑸ 点呼の方法
ヘ.自動車、道路及び運行の状況 ⑹ 遠隔点呼を受けた運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況
ト.運転者の疾病、疲労、睡眠不足等の状況 ⑺ 運転者にあっては、遠隔点呼を受けた運転者の疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無についての確認の結果
チ.指示事項 ⑻ 運行管理者が運転者等に対し伝える指示事項
(掲げられていない) ⑼ 運転者等が点呼を受けた場所
リ.その他必要な事項 ⑽ その他必要な事項

点呼告示第5条第8号の規定からは、次の事実が確認できます。

  • ハには、アルコール検知器による測定結果及び酒気帯びの有無、並びにアルコール検知器使用時の静止画又は動画が掲げられていません。 業務前の遠隔点呼(イ⑹⑺)、業務後の遠隔点呼(ロ⑹⑺)及び輸送安全規則第7条第3項の業務途中の遠隔点呼(ニ⑹⑺)には、これらが掲げられています。
  • 「運転者等が点呼を受けた場所」は、ハ⑼では条件を付さずに掲げられています。 業務前(イ⒀)及び業務後(ロ⑽)では、「前条第一項第三号に掲げる場所において遠隔点呼を行う場合にあっては」という条件が付されています。
  • 点呼告示第5条第8号は、遠隔点呼機器の機能として「その記録を一年間保存する機能を有すること」と規定しています。運輸規則第24条第5項は、一般貸切旅客自動車運送事業者について、点呼の内容を記録した電磁的記録を三年間保存することを定めています。

電磁的記録による保存の方法と期限(解釈及び運用第24条(3))

一般貸切旅客自動車運送事業者による電磁的記録の保存には、点呼記録をシステムに入力して即座に自動的に保存されるもののみならず、パソコンの表計算ソフト等で入力したものを改ざんが容易でない方法で保存することや、手書きの点呼記録簿等をスキャナ(スマートフォンやデジタルカメラ含む)で読み取った形式で保存することを含む。いずれの記録においても、改ざんが容易でない形で保存する作業は、点呼を実施した日から1週間以内に保存すること。

3-7. 録音・録画(第6項)

第6項も「第一項から第三項までの規定により点呼を行つたとき」と規定しており、業務途中点呼も対象です。

6 一般貸切旅客自動車運送事業者は、第一項から第三項までの規定により点呼を行つたときは、その状況を録音及び録画(電話その他の方法により点呼を行う場合にあつては、録音のみ)して電磁的方法により記録媒体に記録し、かつ、その記録を九十日間保存しなければならない。

業務途中点呼を電話その他の方法で行った場合は録音のみ、それ以外の方法で行った場合は録音及び録画が必要で、保存期間は90日間です。

3-8. 遠隔点呼の実施に係る解釈及び運用の定め

解釈及び運用第24条(1)⑤には、遠隔点呼の実施に係る留意事項と、運輸支局長等への届出関係について、次の定めがあります。

(ⅲ) 遠隔点呼の実施に係る留意事項

ア 運転者等が遠隔点呼等のみを受け、当該運転者等が属する営業所の運行管理者から長期間対面点呼を受けない場合は、1か月に1回以上、運行管理者が当該運転者等と対面等で会話することで健康状態を把握するとともに、当該運転者等に対する指導及び監督を適切に行うことにより、安全運転の遵守等について指導すること。

イ 遠隔点呼実施時に運転者等の健康状態を確認する際、運転者等の顔の表情や話し方、当該運転者等からの自己申告の内容から総合的に健康状態が判断されるが、遠隔点呼実施時の運転者等の体温、血圧等の測定結果を平時の測定値と比較して判断がなされることが推奨される。

ウ 点呼告示第5条第8号の機能によって電磁的方法により記録され、遠隔点呼実施地点間で共有された事項について、遠隔点呼を受けた運転者等が属する営業所の運行管理者等は、当該遠隔点呼の実施後、速やかに(原則、翌営業日以内とする。)、上記共有事項について確認するよう指導すること。

エ 点呼告示第6条第2号においてビデオカメラその他の撮影機器による確認を求めているのは、なりすまし、アルコール検知器の不正使用及び所定の場所以外での遠隔点呼の実施を防止する趣旨であることから、遠隔点呼実施場所の天井に監視カメラを備える等の対応ができない場合は、運行管理者等が、アルコール検知器使用時に運転者等の全身やその周囲を随時、明瞭に確認できれば、クラウド型ドライブレコーダー、ノートパソコンに内蔵されているWebカメラ、スマートフォン等を使用しても差し支えない。

オ 点呼告示第7条第5号の連絡及び同条第6号の体制の整備がなされるよう、遠隔点呼実施地点間の運行管理者等の間で連絡先を共有し、常時連絡できる体制を整えるよう指導すること。

(ⅳ) 遠隔点呼を実施する場合等における運輸支局長等への届出関係

ア 遠隔点呼を実施しようとする事業者には、遠隔点呼実施営業所及び被遠隔点呼実施営業所を管轄する運輸支局長等に、当該点呼実施予定日の原則10日前までに別紙3の届出書を提出するよう指導すること。

イ 提出した届出書の記載内容を変更しようとする事業者には、変更の実施に先立ち、遠隔点呼実施営業所及び被遠隔点呼実施営業所を管轄する運輸支局長等に別紙4の届出書を提出するよう指導すること。

ウ 遠隔点呼の実施を終了しようとする事業者は、遅滞なく、遠隔点呼実施営業所及び被遠隔点呼実施営業所を管轄する運輸支局長等に別紙5の届出書を提出するよう指導すること。

4. 混同しやすい制度 ― 乗務中の体調報告との違い

解釈及び運用第21条(過労防止等)関係の「高速乗合バス及び貸切バスの交替運転者の配置基準」には、「(4)乗務中の体調報告」が定められています。貸切バスについての内容は次のとおりです。

次のイ又はロの運行を行う場合にあっては、それぞれイ又はロに掲げる実車距離において、運転者は所属する営業所の運行管理者等に電話等で連絡し、体調報告を行うとともに、当該運行管理者等はその結果を記録し、かつ、その記録を3年間保存しなければならない。なお、当該記録については、書面又は電磁的方法による記録・保存のいずれでも差し支えない。イ 一運行の実車距離が400kmを超える夜間ワンマン運行を行う場合 当該運行の実車距離100kmから400kmまでの間 ロ 1日の乗務の合計実車距離が500kmを超えるワンマン運行を行う場合 当該1日の乗務の合計実車距離100kmから500kmまでの間

業務途中点呼とは、根拠規定・要件が異なります。

項目 業務途中点呼 乗務中の体調報告(貸切)
根拠 運輸規則第24条第3項 解釈及び運用第21条関係 交替運転者の配置基準(4)
対象となる運行 運行指示書上、実車運行区間100km超の夜間運行(実車運行の開始時刻・終了時刻が午前2時から午前4時までの間にある運行又は当該時刻をまたぐ運行) イ 一運行の実車距離400km超の夜間ワンマン運行/ロ 1日の乗務の合計実車距離500km超のワンマン運行
ワンマン運行の限定 なし(交替運転者が添乗している場合は交替運転者を含む) あり
実施時期 業務の途中に少なくとも一回 イは実車距離100kmから400kmまでの間、ロは合計実車距離100kmから500kmまでの間
行為の性格 事業者が行う点呼(報告を求め、確認し、指示を与える) 運転者が電話等で連絡して行う体調報告
記録・保存 第5項の記録事項を電磁的記録で3年間。第6項の録音・録画を90日間 結果を記録し3年間。書面又は電磁的方法のいずれでも可

なお、夜間ワンマン運行の定義(解釈及び運用第21条関係(7))は「最初の旅客が乗車する時刻若しくは最後の旅客が降車する時刻(運転を交替する場合にあっては実車運行を開始する時刻若しくは実車運行を終了する時刻)が午前2時から午前4時までの間にあるワンマン運行又は当該時刻をまたぐワンマン運行」であり、業務途中点呼の対象を定める⑧の「夜間運行」(実車運行の開始時刻・終了時刻を基準とする)とは基準となる時刻の定め方も異なります。

5. 誤解しやすいポイントの整理

誤りやすい理解 正しい理解 根拠
すべての旅客自動車運送事業者に業務途中点呼の義務がある 一般貸切旅客自動車運送事業者のみ 運輸規則第24条第3項
夜の時間帯に長く走れば対象になる 運行指示書上、実車運行区間の距離が100kmを超え、かつ実車運行の開始時刻・終了時刻が午前2時から午前4時までの間にあるか当該時刻をまたぐ運行が対象 解釈及び運用第24条(1)⑧
回送の距離も100kmに含める 回送運行は実車運行に含まない 解釈及び運用第24条(1)⑧
ワンマン運行だけが対象 ワンマンの限定はなく、添乗している交替運転者も対象 解釈及び運用第24条(1)⑧
400km超の夜間ワンマン運行で行う体調報告が業務途中点呼である 根拠規定が異なり、対象運行・実施時期・記録方法の定めも異なる 解釈及び運用第21条関係・第24条関係
業務途中点呼でもアルコール検知器による酒気帯び確認が必要 第3項の確認事項は、運行等の状況と疾病・疲労・睡眠不足等の2つ。第4項・第7項は第3項を対象としていない 運輸規則第24条第3項・第4項・第7項
メールやFAXで状況を送らせればよい 電子メール、FAX等一方的な連絡方法は「その他の方法」に該当しない 解釈及び運用第24条(1)②
運転しながら電話で受ければよい 電話その他の方法による点呼を運行中に行ってはならない 解釈及び運用第24条(1)②
業務途中点呼は記録不要 第5項の記録(貸切は電磁的記録3年)、第6項の録音・録画(90日)の対象 運輸規則第24条第5項・第6項
業務途中点呼にも点呼告示の自動点呼の定義がある 点呼告示第2条が定義する自動点呼は、業務前自動点呼と業務後自動点呼の2つ 点呼告示第2条
業務途中の遠隔点呼でもアルコール検知器の測定結果・酒気帯びの有無を記録する事項として掲げられている 点呼告示第5条第8号ハには、アルコール検知器の測定結果・酒気帯びの有無・検知器使用時の静止画又は動画は掲げられていない 点呼告示第5条第8号ハ
点呼を受けた場所の記録は、車内・宿泊施設等で遠隔点呼を行う場合に限られる 業務途中の遠隔点呼(ハ⑼)では、条件を付さずに「運転者等が点呼を受けた場所」が掲げられている 点呼告示第5条第8号イ⒀・ロ⑽・ハ⑼

6. 運転者の義務

一般貸切旅客自動車運送事業者の事業用自動車の運転者は、第24条第3項に規定する乗務の途中において、同項の規定により事業者が行う点呼を受け、同項の規定による報告をしなければなりません(運輸規則第50条第10項)。

出典:
・旅客自動車運送事業運輸規則(昭和三十一年運輸省令第四十四号)第24条、第50条第1項第2号・第10項
・旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について(平成14年1月30日 国自総第446号・国自旅第161号・国自整第149号、最終改正 令和8年6月26日 国自安第67号・国自旅第42号・国自整第76号)第24条関係、第21条関係
・対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示(令和5年国土交通省告示第266号。国土交通省ウェブサイト掲載の「改正後全文(令和8年6月)」による)第1条、第2条、第4条、第5条、第7条
 (参考)改正後全文(令和8年6月時点):https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001904753.pdf