運転者等台帳の記載事項
運転者等台帳は、一般貨物自動車運送事業者等が運転者等ごとに作成し、営業所に備え置かなければならない法定書類です。本記事では、貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条の5および「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」に基づき、第1号から第10号までの記載事項、事故・行政処分の書き方、退職時の追記と3年間の保存、軽貨物事業者向けの貨物軽自動車運転者等台帳(第9条の6)、旅客の乗務員等台帳との違いを整理します。
旅客自動車運送事業をお探しの方へ
旅客自動車運送事業の「乗務員等台帳」(旅客自動車運送事業運輸規則第37条)については、 乗務員等台帳の記載事項 をご覧ください。号数や写真規格などの違いは第6章で比較しています。
運転者等台帳とは
運転者等台帳は、一般貨物自動車運送事業者等が事業用自動車の運転者等ごとに作成する台帳です。貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条の5第1項は、第一号から第九号までに掲げる事項を記載し、第十号に掲げる写真を貼り付けた一定の様式の運転者等台帳を作成し、これを当該運転者等の属する営業所に備えて置かなければならないと定めています。
記載事項の具体的な取扱いは、「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」(解釈運用通達)の第9条の5部分に示されています。本記事の内容は、この条文と通達を根拠としています。
「運転者等」とは
条文上の「運転者等」には、事業用自動車の運転者に加えて特定自動運行保安員が含まれます。従来の「運転者台帳」から「運転者等台帳」に名称が改められています。
基本的な性格
- 運転者等ごとに1枚(1件)作成する
- 当該運転者等が属する営業所に備え置く
- 記載事項に変更が生じた場合は、そのつど内容を更新する
- 書面の作成・保存に代えて、電磁的記録による作成・保存を行うことができる
基本記載事項(第1号〜第10号)
輸送安全規則第9条の5第1項が定める記載事項は、次のとおりです。第1号から第9号までを記載し、第10号の写真を貼り付けます。
- 作成番号及び作成年月日
- 事業者の氏名又は名称
- 運転者等の氏名、生年月日及び住所
- 雇入れの年月日及び運転者等に選任された年月日
-
運転者にあっては、道路交通法に規定する運転免許に関する次の事項
- イ 運転免許証又は免許情報記録の番号及び有効期限
- ロ 運転免許の年月日及び種類
- ハ 運転免許に条件が付されている場合は、当該条件
- 事故を引き起こした場合は、その概要
- 道路交通法第108条の34の規定による通知を受けた場合は、その概要
- 運転者等の健康状態
- 運転者にあっては、指導の実施(第10条第2項)及び適性診断の受診の状況
- 運転者等台帳の作成前6月以内に撮影した単独、上三分身、無帽、正面、無背景の写真
第10号の写真の要件
運転者等台帳の作成前6月以内に撮影した、単独・上三分身・無帽・正面・無背景の写真を貼り付けます。
貨物の運転者等台帳には、写真の大きさ(サイズ)に関する規定はありません。旅客の乗務員等台帳では、一般乗用旅客自動車運送事業者の運転者等について縦3.0センチメートル以上・横2.4センチメートル以上とされている点が異なります。
運転者等でなくなった場合の追記事項
運転者でなくなった場合(第9条の5第2項)
運転者が転任、退職その他の理由により運転者でなくなった場合には、直ちに、当該運転者に係る運転者等台帳に次の事項を記載し、これを3年間保存します。
- 運転者でなくなった年月日及び理由
特定自動運行保安員でなくなった場合(第9条の5第3項)
特定自動運行保安員が転任、退職その他の理由により特定自動運行保安員でなくなった場合には、直ちに、当該台帳に次の事項を記載し、これを3年間保存します。
- 特定自動運行保安員でなくなった年月日及び理由
各号の記載上の留意点(解釈運用通達)
解釈運用通達では、各号の記載方法について具体的な取扱いが示されています。実務で問題になりやすい点を号ごとに整理します。
第6号(事故を引き起こした場合)
原則として、当該運転者等が当該事故の発生に最も大きな責任を有する場合(いわゆる第一当事者である場合)を指します。明らかに第二当事者以下である場合は、記載を要しません。第一当事者であるかどうか直ちに判断できない場合は、判断を保留する旨を付して記載し、後日判明した際にその旨及び判断の根拠資料の写しを追記します。
事故記録(第9条の2)の作成に併せて、事故の発生日時、発生場所及び概要(損害の程度を含む)を記載します。事故記録の写しを添付するか、事故の発生日時及び損害の程度を記載し、それ以外は事故記録の作成番号等を記載することで代えることができます。
第7号(道路交通法第108条の34の通知)
通知の内容に基づき、違反の種別、年月日及び場所を記載します。通知がない場合であっても、運転者から自主的な報告があったときは、同様に概要を記載します。
第8号(健康状態)
労働安全衛生規則第51条に基づく健康診断個人票、又は同令第51条の4に基づく健康診断結果通知の写しを添付することで足ります。
作成・保存方法
書面の作成・保存に代えて、運転者等台帳に係る電磁的記録による作成・保存を行うことができます。
貨物軽自動車運転者等台帳(第9条の6)
貨物軽自動車運送事業者(四輪以上の軽自動車を使用して貨物を運送する事業者)は、運転者等ごとに、次の各号に掲げる事項を記載した貨物軽自動車運転者等台帳を作成し、これを当該運転者等の属する営業所に備えて置かなければなりません。根拠は貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条の6、及び解釈運用通達第9条の6部分です。
- 作成番号及び作成年月日
- 事業者の氏名又は名称
- 運転者等の氏名、住所及び生年月日
- 運転者等が初めて運行の業務に従事した年月日
- 運転者にあっては、指導の実施及び適性診断の受診の状況
運転者等でなくなった場合の追記事項
- 運転者でなくなった年月日及び理由(第9条の6第2項。直ちに記載し3年間保存)
- 特定自動運行保安員でなくなった年月日及び理由(第9条の6第3項。直ちに記載し3年間保存)
一般貨物の運転者等台帳との違い
貨物軽自動車運転者等台帳には、写真の貼付義務、運転免許に関する詳細事項、事故・行政処分の記載義務がありません。一般貨物自動車運送事業者等の運転者等台帳より項目が少ない、簡易な台帳です。作成・保存については、書面に代えて電磁的記録によることができます。
旅客の乗務員等台帳との違い
同じ「台帳」でも、旅客自動車運送事業の乗務員等台帳(旅客自動車運送事業運輸規則第37条)と貨物自動車運送事業の運転者等台帳(貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条の5・第9条の6)では、記載事項に次の違いがあります。
| 項目 | 旅客(運輸規則第37条/乗務員等台帳) | 貨物(輸送安全規則第9条の5・第9条の6/運転者等台帳) |
|---|---|---|
| 号数 | 第一号から第十一号(写真は第十一号) | 第一号から第十号(写真は第十号)で1号少ない。貨物側に「運転の経歴」に相当する号が存在しないため。 |
| 「運転の経歴」 | 記載事項あり(第37条第1項第6号)。特に一般貸切旅客自動車運送事業者は、選任する貸切バス運転者について、事業者名・選任期間・主に乗務する貸切バスの車種区分(変更の都度更新)の記載が義務。 | これに相当する記載事項は規定されていない。 |
| 写真規格 | 単独、無帽、正面、無背景。一般乗用旅客自動車運送事業者の運転者等については縦3.0cm以上・横2.4cm以上のサイズ規定あり。 | 単独、上三分身、無帽、正面、無背景。サイズ規定はない。 |
| 簡易版台帳 | これに相当する簡易版台帳制度はない。 | 軽貨物事業者向けの簡易版「貨物軽自動車運転者等台帳」(5項目のみ・第9条の6)が別途存在する。 |
| 乗務員証制度 | 一般乗用旅客自動車運送事業者(タクシー・ハイヤー)に対する「乗務員証」携行義務がある(第37条第3項・第4項)。 | 対応する制度はない。 |
旅客側の詳細
旅客の乗務員等台帳の記載事項、運転の経歴の書き方、乗務員証との違いについては、 乗務員等台帳の記載事項 で解説しています。
まとめ
運転者等台帳は、一般貨物自動車運送事業者等が運転者等ごとに作成し、当該運転者等が属する営業所に備え置く法定書類です(輸送安全規則第9条の5)。第1号から第9号までの事項を記載し、第10号の写真(作成前6月以内・単独・上三分身・無帽・正面・無背景。サイズ規定なし)を貼り付けます。
免許事項など変更が生じた事項はそのつど遺漏なく更新します。第6号の事故は原則として第一当事者の場合に記載し、第7号は道路交通法第108条の34の通知内容(違反の種別・年月日・場所)を記載します。第8号の健康状態は健康診断個人票等の写しの添付で足ります。
運転者等が転任・退職等でその立場でなくなった場合は、直ちに年月日と理由を追記し、台帳を3年間保存します(第9条の5第2項・第3項)。四輪以上の軽自動車で貨物を運送する貨物軽自動車運送事業者は、記載5項目の簡易な「貨物軽自動車運転者等台帳」を作成します(第9条の6)。
旅客の乗務員等台帳とは、号数(旅客は第11号まで/貨物は第10号まで)、「運転の経歴」の有無、写真規格、簡易版台帳の有無、乗務員証制度の有無が異なります。詳しくは乗務員等台帳の記載事項をあわせてご確認ください。