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白線と黄色いセンターラインの違い

― 法律家の目線で考察する ―

はみ出し通行・追越しの可否と、障害物回避のための例外

その他

白線と黄色いセンターラインの違いを法律家の目線で考察する

比較的狭い道路のセンターライン(中央線)が白色の場合と黄色の場合とで、はみ出し通行・追越しの可否がどう異なるかを整理します。あわせて、黄色いセンターラインが引かれた区間であっても、駐車車両や路肩からせり出した樹木・雑草といった障害物を避けるためにはみ出して通行することが許されるかを、条文に沿って検討します。

根拠法令

  • 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)
  • 道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(昭和三十五年総理府・建設省令第三号)

本記事の位置づけ

⚠️ 本記事は道路交通法(e-Gov法令検索)及び道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の条文に基づいて整理したものであり、個別事案における警察の運用・取締り実務の詳細までを保証するものではありません。実際の走行にあたっては、現場の標識・標示と安全運転義務を優先してご判断ください。

1. 白線と黄色線の違い(法的根拠)

道路標示には、外見が似ていても法的な意味がまったく異なる2種類があります。

道路標示 番号 色彩 法的効果
中央線 (205) 単に道路の中央(車線の区切り)を示すのみ。それ自体に追越し・はみ出し禁止の効果はない
追越しのための右側部分はみ出し通行禁止 (102) 追越しのための右側部分へのはみ出し通行を法的に禁止する規制標示

(出典:道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 別表第五・別表第六)

道路交通法上の根拠条文

第十七条第4項は、車両は道路の中央から左の部分(左側部分)を通行しなければならないと定めています。第5項は、これに対する例外として右側部分へのはみ出しが許される場合を列挙しており、追越しに関する部分は次のとおりです。

第十七条第5項第四号 当該道路の左側部分の幅員が六メートルに満たない道路において、他の車両を追い越そうとするとき(当該道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限るものとし、道路標識等により追越しのため右側部分にはみ出して通行することが禁止されている場合を除く。)

この「道路標識等による禁止」が黄色い標示(102)にあたります。したがって、法的な分かれ目は線が実線か破線かではなく「白か黄色か」という色です。実線・破線の違いはこの命令の条文上、独立した法的な禁止区分としては規定されておらず、設置方法・視認性等による図柄上の違いにとどまります。

白い中央線と白い車道外側線が引かれた片側一車線の道路
白い中央線が引かれた道路の例。黄色い中央線と異なり、白い標示それ自体には追越しのための右側部分へのはみ出し通行を禁止する法的効果はない。

2. センターライン以外の通行帯区分線(白線・黄色線)

車線と車線の間の区分線についても、同じ色の使い分けがあります。

道路標示 番号 色彩 法的根拠・効果
車両通行帯 (109) 車両通行帯(車線)の存在を示すのみ。車線変更は自由(一般的注意義務のみ)
進路変更禁止 (102の2) 道路交通法第二十六条の二第三項に基づき、車線変更を法的に禁止する規制標示
第二十六条の二第三項 車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によつて区画されているときは、次に掲げる場合を除き、その道路標示をこえて進路を変更してはならない。

センターラインの場合とまったく同じ構造で、白=単なる区切り、黄=法的な禁止標示という対応関係になっています。

3. 黄色いセンターラインでも、障害物を避けるためのはみ出しは可能

3-1. 条文構造

第十七条第5項は、右側部分へのはみ出しが許される場合を五つの号で列挙しています。

  • 第一号:一方通行
  • 第二号:左側部分の幅員不足
  • 第三号:道路の損壊、道路工事その他の障害のため左側部分を通行できないとき
  • 第四号:狭い道路での追越し(※黄色線がある場合を除く、という限定つき)
  • 第五号:勾配の急な道路のまがりかど付近での指定通行

黄色い標示(102)による除外規定は、第四号(追越しの場合)にしか付いていません。第三号(障害物を避ける場合)には黄色線による除外規定が一切なく、第四号とは完全に独立した別の号です。

3-2. 結論

したがって、黄色いセンターラインが引かれている区間であっても、道路の損壊・道路工事・その他の障害(駐車車両、故障車、路肩からせり出した樹木・雑草等の物理的な障害物)により左側部分を通行できない場合には、第十七条第5項第三号に基づいてはみ出して通行することが認められます。これは「追越し」ではなく、自車線を維持できないことによる不可避的な通行であり、黄色線が規制する行為(追越しのためのはみ出し)とは規制の対象自体が異なります。

なお、はみ出す場合には次の点に留意が必要です。

  • 第十七条第5項柱書後段:はみ出し方はできるだけ少なくすること
  • 対向車の有無を踏まえた安全運転義務(第七十条)は当然に適用される

4. 具体例:山側からの枝・雑草を避けて通行する路線バス

黄色いセンターラインのカーブにおいて、路線バスが左側の山からせり出した木の枝や雑草を避けるために黄色のセンターラインをまたいで通行していたケースを考えます。

  • バスは他車を追い越しているわけではなく、単に自車線(左側部分)が物理的にふさがれているために、やむを得ずはみ出しています。
  • これは第十七条第5項第三号の「道路の損壊、道路工事その他の障害」に該当する典型例であり、黄色線による追越し規制(第五項第四号のただし書き)とは別の規定に基づく通行として、条文上問題ありません。
  • カーブ(道路の曲がり角付近)であることは第三十条第一号により追越しが禁止される場所ではありますが、これも「追越し」に関する規制であり、障害物を避けるための通行(追越しに該当しない)には影響しません。

5. まとめ

論点 結論
白線と黄色線の違い 白=中央・区切りを示すのみ/黄=追越し・車線変更のためのはみ出しを法的に禁止
実線・破線の違い この命令上、独立した法的禁止区分としての規定はなし。色(白/黄)が決め手
黄色線区間での障害物回避のはみ出し 第十七条第5項第三号により可能(追越し規制である第四号とは別の独立した規定)
樹木・雑草を避けるバスの事例 上記第三号に該当する通行であり、条文上問題なし

本記事は道路交通法(e-Gov法令検索)及び道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(別表第五・別表第六)の条文に基づいて作成しています。個別事案における警察の運用・取締り実務の詳細については、所轄の警察署等にご確認ください。