乗務員等台帳の記載事項
乗務員等台帳は、旅客自動車運送事業者が運転者等ごとに作成し、営業所に備え置かなければならない法定書類です。本記事では、旅客自動車運送事業運輸規則第37条および「旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について」に基づき、第1号から第11号までの記載事項、運転の経歴の書き方、退職時の追記と保存期間、乗務員証との違いを整理します。
貨物自動車運送事業をお探しの方へ
貨物自動車運送事業の「運転者等台帳」(貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条の5・第9条の6)については、 運転者等台帳の記載事項 をご覧ください。号数や写真規格などの違いも比較しています。
乗務員等台帳とは
乗務員等台帳は、旅客自動車運送事業者が事業用自動車の運転者等ごとに作成する台帳です。旅客自動車運送事業運輸規則第37条第1項は、第一号から第十号までに掲げる事項を記載し、第十一号に掲げる写真を貼り付けた一定の様式の乗務員等台帳を作成し、これを当該運転者等の属する営業所に備えて置かなければならないと定めています。
記載事項の具体的な取扱いは、「旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について」(解釈運用通達)の第37条部分に示されています。本記事の内容は、この条文と通達を根拠としています。
「運転者等」とは
条文上の「運転者等」には、事業用自動車の運転者に加えて特定自動運行保安員が含まれます。台帳の名称も従来の「運転者台帳」から「乗務員等台帳」に改められています。
基本的な性格
- 運転者等ごとに1枚(1件)作成する
- 当該運転者等が属する営業所に備え置く
- 記載事項に変更が生じた場合は、そのつど内容を更新する
- 書面の作成に代えて、電磁的記録による作成を行うことができる
基本記載事項(第1号〜第11号)
運輸規則第37条第1項が定める記載事項は、次のとおりです。第1号から第10号までを記載し、第11号の写真を貼り付けます。
- 作成番号及び作成年月日
- 事業者の氏名又は名称
- 運転者等の氏名、生年月日及び住所
- 雇入れの年月日及び運転者等に選任された年月日
-
運転者に対しては、道路交通法に規定する運転免許に関する次の事項
- イ 運転免許証又は免許情報記録の番号及び有効期限
- ロ 運転免許の年月日及び種類
- ハ 運転免許に条件が付されている場合は、当該条件
- 運転者の運転の経歴(詳細は第3章を参照)
- 事故を引き起こした場合は、その概要
- 運転者に対しては、道路交通法第108条の34の規定による通知を受けた場合は、その概要
- 運転者等の健康状態
- 運転者に対しては、指導監督(第38条第2項)の実施及び適性診断の受診の状況
- 乗務員等台帳の作成前6月以内に撮影した写真
第11号の写真の要件
乗務員等台帳の作成前6月以内に撮影した、単独・無帽・正面・無背景の写真を貼り付けます。
一般乗用旅客自動車運送事業者の運転者等については、縦3.0センチメートル以上、横2.4センチメートル以上の大きさの写真とされています。
第6号「運転者の運転の経歴」の詳細
解釈運用通達により、一般貸切旅客自動車運送事業者は、選任する貸切バスの運転者について、次の事項を「運転の経歴」として記載します。
- イ 事業者の氏名又は名称
- ロ 運転者として選任されている期間
- ハ 主に乗務する貸切バスの車種区分(「一般貸切旅客自動車運送事業の許可及び事業計画変更認可申請の処理について」(平成11年12月13日付自旅第128号、自環第241号)別紙1(3)①による区分)
ハの車種区分については、乗務する車種区分に変更を生じた場合ごとに、遺漏なく記載を更新します。
経歴記載の適用範囲
- 平成28年11月1日以降に選任した運転者で、過去に他の一般貸切旅客自動車運送事業者において選任された経験を有する場合は、直近に選任した事業者についての経歴を記載します。この場合、運転者の雇入れ時に提出された履歴書(運転の経歴を記載したものに限る)の写しを添付することで、記載に代えることができます。
- 平成28年11月1日前に選任した運転者については、同月時点からの運転の経歴を記載します。それ以前の経歴についても、積極的な記載が望ましいとされています。
- 一般貸切旅客自動車運送事業者以外の旅客自動車運送事業者については、この経歴記載は義務ではなく、一般貸切旅客自動車運送事業者に準じた記載が望ましいとされるにとどまります。
運転者等でなくなった場合の追記事項
運転者でなくなった場合(第37条第2項)
運転者が転任、退職その他の理由により運転者でなくなった場合には、直ちに、当該運転者に係る乗務員等台帳に次の事項を記載し、これを3年間保存します。
- 運転者でなくなった年月日及び理由
特定自動運行保安員でなくなった場合(第37条第5項)
特定自動運行保安員が転任、退職その他の理由により特定自動運行保安員でなくなった場合には、直ちに、当該台帳に次の事項を記載し、これを3年間保存します。
- 特定自動運行保安員でなくなった年月日及び理由
各号の記載上の留意点(解釈運用通達)
解釈運用通達では、各号の記載方法について具体的な取扱いが示されています。実務で問題になりやすい点を号ごとに整理します。
第1号(作成番号)
運転者等ごとの作成番号及び台帳の編てつの順序は選任の順によるものとし、事業者ごと(2以上の営業所を有する場合は営業所ごと)に一連の番号を付します。枝番号を付す、または番号が重複することのないようにします。転任、退職等により運転者等でなくなった者に付した作成番号は永久欠番とし、再使用しません。
第5号(運転免許事項)
当該事項に変更が生じた場合には、直ちに乗務員等台帳に変更事項を記載します。
第7号(事故を引き起こした場合)
原則として、当該運転者等が当該事故の発生に最も大きな責任を有する場合(いわゆる第一当事者である場合)を指します。第一当事者であるかどうか直ちに判断できない場合は、判断を保留する旨を付して記載し、後日判明した際にその旨及び判断の根拠資料の写しを追記します。
事故記録(第26条の2)の作成に併せて、事故の発生日時、発生場所及び概要(損害の程度を含む)を記載します。事故記録の写しを添付するか、事故の発生日時及び損害の程度を記載し、それ以外は事故記録の作成番号等を記載することで代えることができます。
第8号(道路交通法第108条の34の通知)
通知の内容に基づき、違反の種別、年月日及び場所を記載します。通知がない場合であっても、運転者から自主的な報告があったときは、同様に概要を記載します。
第9号(健康状態)
労働安全衛生規則第51条に基づく健康診断個人票、又は同令第51条の4に基づく健康診断結果通知の写しを添付することで足ります。
作成方法
書面の作成に代えて、乗務員等台帳に係る電磁的記録の作成を行うことができます。
乗務員等台帳の保存
運転者等でなくなった者に係る乗務員等台帳は、3年間の保存が必要です(第37条第2項)。
- 運転者等でなくなった年月日及び理由の記載は、朱書きとすることが望ましい
- 書面の保存に代えて、電磁的記録の保存を行うことができる
注意点
退職者等の台帳を「不要」として直ちに廃棄しないよう注意が必要です。運転者等でなくなった年月日から3年間は保存義務が続きます。
参考:乗務員証との違い
乗務員証は乗務員等台帳とは別の書類です(第37条第3項・第4項)。一般乗用旅客自動車運送事業者が、事業用自動車に乗務する運転者に携行させる義務を負うものです。
乗務員証の記載事項
- 作成番号及び作成年月日
- 事業者の氏名又は名称
- 運転者の氏名
- 運転免許証又は免許情報記録の有効期限
写真は、乗務員等台帳に貼付したものと同じものを貼り付けます。運転者でなくなった場合の乗務員証は1年間保存し、運転者でなくなった年月日及び理由の記載は朱書きとすることが望ましいとされています。
台帳と混同しない
乗務員等台帳は営業所に備え置く書類、乗務員証は運転者に携行させる書類です。記載事項・保存期間(台帳3年、乗務員証1年)も異なるため、それぞれ別に管理します。
まとめ
乗務員等台帳は、運転者等ごとに作成し、当該運転者等が属する営業所に備え置く法定書類です。第1号から第10号までの事項を記載し、第11号の写真(作成前6月以内・単独・無帽・正面・無背景。乗用事業者は縦3.0cm×横2.4cm以上)を貼り付けます。
免許事項や運転の経歴など、変更が生じた事項はそのつど遺漏なく更新する必要があります。一般貸切旅客自動車運送事業者は、運転の経歴として事業者名・選任期間・主に乗務する車種区分を記載し、車種区分の変更時には更新します。
運転者等が転任・退職等でその立場でなくなった場合は、直ちに年月日と理由を(朱書きが望ましい)追記し、台帳を3年間保存します。乗務員証は台帳とは別の携行書類で、記載事項も保存期間(1年間)も異なるため、混同せずに管理してください。